衆議院と参議院の違いとは?なぜ2つに分かれているの? 簡単に分かりやすく解説します。

国会の中には衆議院と参議院があるというのは多くの方がご存じだと思いますが、意外と2つの違いがわからないという方が多くいると思います。衆議院と参議院は何が違うのか、どうして2つに分かれているのか、今回の記事ではそんな疑問を簡単にわかりやすく解説していきたいと思います。ぜひ参考にしていただいて、皆さんが少しでも政治に興味を持つキッカケできたらと思います。

なぜ衆議院と参議院の2つに分かれているのか?

ご存じの通り、日本の政府は衆議院と参議院の2つに分かれています。これを”二院制”といいます。二院制は世界79か国が採用している仕組みになり、日本の他にはアメリカ、イギリス、フランスなどが二院制を採用しています。一方、中国やウクライナなどは一院制を採用しており、全体で見ると113か国が一院制を採用しています。参議院の公式HPによれば、日本が二院制を採用する理由としては以下の3つです。

1.国民の様々な意見をできるだけ広く反映できる。
2.1つの議員が決めたことをほかの議員でも検討するので慎重な審議を行える。
3.1つの議員の行き過ぎを抑制したり、足りない部分を補ったりできる。

つまり二院制というしくみによって、衆議院・参議院お互いの意見をお互いがよく見極め慎重に協議できるわけです。
しかし、二院制には意思決定が遅くなることや一院制に比べて経費がかかりすぎるといったデメリットも存在します。そのことから、デンマークやスウェーデン、ニュージーランドのように二院制から一院制に変えた国もあります。


では、具体的に衆議院と参議院ではどのような違いがあるのかですが、大きく分けて4つの違いがありますので次で解説します。

衆議院と参議院の大きな違い4つ

参議院衆議院の大きな違いはザックリ分けると4つあります。議員定数・任期・被選挙権・解散の有無の4つです。具体的に数字で説明すると、議員定数は参議院が248人で衆議院が465人。任期が参議院が6年で衆議院が4年。被選挙権は参議院が30歳以上で衆議院が25歳以上。そして参議院には解散はありませんが衆議院には解散があります。

ではこの4つの違いについてもう少し詳しく見ていきましょう。

1.議員定数

議員の数は衆議院465人、参議院248人と衆議院の方が約1.9倍多くなっています。
ちなみにですが、この議員定数に関しては常にこの人数で固定されているわけではなく、約20人前後の範囲で過去に何度も変動がありました。理由は多々ありますが、”一票の格差”を是正する目的が大きな理由になります。

●一票の格差
地域によって有権者の人数が異なるため、一人一人の「一票」の価値に差が生じてしまうこと。
有権者が少ない地域では一票の価値が大きく、反対に有権者が多い地域では低くなります。
簡単に言うと、地方の人口が少ない所と都会の人口が多い所では、一票の"重み"が全然違うということです。

2.任期

衆議院の任期は最長で4年間あります。しかし、任期満了を迎える前に衆議院解散が行われた場合は解散総選挙が行われることになりますので、4年間よりも短くなることもあります。

参議院の任期は6年間で、衆議院のように解散がないため基本的には6年間の任期満了まで務めることになります。
ただし、3年ごとに参議院の半数の議員は”改選”があります。簡単に言うと、「3年に1回ごとに選挙を行って、参議院議員の半分を選びなおしましょう」ってことです。

3.被選挙権

被選挙権(立候補できる権利)は衆議院が25歳、参議院は30歳となっています。なぜこのように年齢に違いがあるのか疑問ですよね。総務省によれば、参議院は”良識の府”と呼ばれ「思慮分別(物事を長期的に考え、よく議論し判断すること)を衆議院よりもさらに求められるため」だそうです。
被選挙権は年齢の他にもう一つ縛りがあります。それは”日本国民であること”です。年齢が30歳以上であっても、どんなに長く日本に住んでいても、外国人に被選挙権はありません。

4.解散

衆議院には解散がありますが参議院にはありません。上記の”任期”の解説で少し触れましたが参議院は解散がないため、基本的には6年間の任期を勤め上げることができます。しかし、解散のある衆議院はそうはいきません。解散によって衆議院議員は任期途中で議員としての立場、地位を失うことになります。そもそも解散って何のためにするの?と思いますよね。目的はさまざまありますが近年は、国にとって重要な政治的問題について国民の意見を投票という形で判断してもらうという目的が特に重要視されています。つまり解散は、国を運営していく上でしっかり国民の声に耳を傾けて政治に反映させるべきだという理由からできた制度といえます。

その他の細かい違い

選挙制度の違い

選挙制度には2種類あります。”選挙区制””比例代表制”です。

【選挙区制】…選挙区ごとに一定人数を選ぶ。
【比例代表制】…各政党が獲得した票数から名簿順で選ぶ。

衆議院は、選挙区と比例代表どちらにも立候補できますが、参議院はどちらか一方にしか立候補できません。

力関係・役割の違い

上記の「日本が二院制を採用する理由」の所で、”二院制というしくみによって、衆議院・参議院お互いの意見をお互いがよく見極め慎重に協議できる”ためと解説しましたが、とはいえ両院の意見に食い違いが起こった場合になかなか決まらない、議論が進まない、なんてことが起こってしまいます。それを避けるため、より国民の意思を反映しやすい衆議院の議決を優先させるための、”衆議院の優越”というルールがあります。

●衆議院の優越のルール内容

1.首相の指名、法律案の議決、予算の議決、条約の承認の4つで衆議院、参議院の意見が割れた場合は原則として衆議院の意見が採用される。

2.法律案については、衆議院で可決された内容が参議院で否決された場合、再び衆議院議員の中の3分の2以上が賛成すれば可決になる。

このように、衆議院の方が与えられている権限が大きくなっています。参議院とは異なり衆議院は任期が短く、解散があります。つまり選挙を通じて国民の意思を問う機会が多い衆議院の議決を優先させようというわけです。

まとめ

今回の記事では衆議院と参議院の違いについて簡単に解説しました。
大小さまざまな違いがあることがわかりましたね。衆議院は強い力を持っているが任期が短く解散もある。だからこそ国民の声を汲み取って政治に反映させやすい。一方参議院は力は弱いが任期が長く解散がない。そのため衆議院よりも物事を長い目で見据えることができ、衆議院の行き過ぎにブレーキをかける役割もあります。お互いバランスを取りながら私たちの国の政治を動かしているんですね。

衆院選、参院選どちらも国の政治が大きく変わるかもしれない非常に大事な選挙です。自分の一票くらい投票しなくても何も変わらないよ…なんて思わず有権者の皆さんは是非投票に行きましょう。よくわからなくてもいいんです。まずは投票へ行って、政治に参加する意思表示をすることが大事です。冒頭にも書きましたが、この記事をキッカケにほんの少しでも政治に興味を持ってもらえたら嬉しく思います。

では、最後までお読みいただきありがとうございました。

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